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生理に負けないで!生理に困っているすべての女性へ
すっきり納得さわやかな生理へ
(当サイトは皆さんにわかりやすくお読みいただくことを第一の目標としています。そのため内容の正確さ等については限りがあります。ご理解とご容赦のほどよろしくお願いいたします。)
生理のつらさを我慢していませんか。もう我慢をしなくてもいいんです。少しの勇気と工夫で生理のつらさから解放されます。このサイトではお困りの皆さんにその手ほどきをしてゆきます。

生理のつらさはおもに 1生理痛が強い、 2生理の量の多さ、それと 3生理前の体調不良、に分けられます。この3 つに分けてご説明します。難しいことはこのサイトでは取り上げません。当てはまる項目のみをざっとお読みいただければ十分です。論理を学びたい方、このサイトの内容では満足いかない方、もっと生理の不都合について学びたい方は最後の参考文献、参照欄をご覧ください。

1 生理痛が強い
強い生理痛=月経困難症といいます。え?生理痛が痛いのは当たり前のことじゃないの?我慢が足りないからでしょう、と考えられてきた時代が長かったのでそのお考えはもっともです。でも強い生理痛=月経困難症はれっきとした病気です。治すべき病気で、しかもほぼきちんと治ります。また治さないと一層ひどくなりかねません。我慢することでよいことは何もありません。
△ 弱い痛みの生理痛、でもつらい場合
市販の鎮痛薬を使います。ご自分に合った鎮痛剤を早めに、しっかりと使いましょう。
鎮痛剤を使うと後々痛み止めが利かなくなってよくない、我慢した上で最後の最後に使った方がいい使い方、なんとなくそんな思いを抱いている方も多いと思います。昭和世代の女性や産婦人科以外の医師ですらそんな迷信を信じている方もいまだに多いのが実情です。それは完全なウソです。弱い生理痛でもつらい場合には①自分に合った痛み止めを②早めに使う、ことが大事です。

ではそれでもつらい生理痛には次の項目です。
× 強い生理痛の場合
低用量ピルを速やかに使いましょう。「ピル」の一言で急に怒りだした付き添いのお母さんを診察室で何人も見ています。昭和の昔、ピル、という言葉は一種の禁句でした。ピル、デモ、やくざ、が同じ仲間とみなされていた悲しい歴史です。医学的にはピル、つまり低用量経口避妊薬(OC)=低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)です。(OC、LEP ガイドライン2020 年度版)かつてはピル=経口避妊薬、=悪魔の薬、でしたがピル=低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)、つまり強い生理痛をしっかり押さえるエースとして世界中の医学者により認められています。低用量ピルは強い生理痛=月経困難症の標準的治療薬として強力に推奨されています。もちろん多少の副作用や、使ってはいけない条件などが決められていますが、それを大幅に上回るメリットがあります。さらに飲み方(服用法)の工夫もここ数年来進歩していて、毎月きちんと弱い生理を起こす方法から=(周期的投与法)、さらに体の負担を減らす連続的な服用方法(ずっと飲み続ける飲み方)=(連続的投与法)もあります。この場合、4 か月間連続して低用量ピルを飲み続けます。その後一回休薬し弱い生理を起こさせたのち、再び4 か月間低用量ピルを服用します。毎月あった生理が4 か月おきになるので体の負担も大幅に減りますね。各製薬会社からいろいろな低用量ピルが出ていて、皆さんに合った薬、飲み方がきっと見つかります。ほんの少しの勇気をもってご来院ください。もちろん保護者の方とご一緒で構いません。お話が苦手な場合、お母様からお話を伺ってもかまいません。

(中学生の時修学旅行でゆきました。)
プロゲスチン製剤という薬もここ最近使えるようになりました。黄体ホルモンという言葉を聞いたことがあると思います。プロゲスチン≒黄体ホルモンです。主に基礎体温表で高温期の時に強く分泌される高温期の女性ホルモンのことです。荒っぽく言うとピルの成分、エストロゲン+プロゲスチン、つまり低温期ホルモン+高温期ホルモン、の後半成分のみのものです。この黄体ホルモン≒プロゲスチンにも様々あってここでは述べませんが今のところ強い生理痛=月経困難症を治す最強のエースだと思ってください。おまけに低用量ピルに比べ有害な副作用(よくない副作用)もほとんどありません。(ゼロではありませんが、、、)飲み始めてしばらくすると生理がすうっと消えてゆきます。生理がなければ生理痛もありません。今まで悩んできたことが嘘のようです。若干の不正出血があることもありますがおそらくは許容範囲内です。唯一の社会的欠点は知名度が低いことです。当院ではこのお薬も考えたうえで使います。人類250 万年の歴史で最初に出現した生理痛撲滅の薬だと思います。大げさな表現ではありません。このお薬を使ってどれほど生理痛のつらさから解放されたか、体験した女性に聞くとわかります。きっとあと何十年かすると希望する女子高生全員に下校時校門で保健の先生がこのプロゲスチン製剤をただで手渡す風景が見られる、と筆者は思っています。その子たちは口々につぶやいてます。「昔に生まれなくてよかったねー。」

その他もっと強い生理痛をとる薬もありますが、この場合強い生理痛=月経困難症に、さらに腹痛を起こす病気が隠れていないかを見極めることも大切です。またお子さんをすぐに欲しいかどうか、生理が来た方が安心する、来ても来なくてもそんなの関係ない、もろもろの条件を考えて最も合ったお薬を考えましょう。
※豆知識Q&A その1
Q 昔の人は生理痛も平気だったの?現代女性はひよわでいたがり?
A いいえ、違います。昔の人と現代女性が決定的に違うのは出産回数です。とある...研究によると一生涯で生理の回数を比べると昔の女性は5 人の子供を産んで、平均50 回の生理を経験しました。これに対し現代女性は2 人の子供を産み平均何と450 回の生理が来るとされています。50 対450 で9 倍もの生理回数に現代女性は耐えています。さらに生理に伴い発症する子宮内膜症の痛みとも戦う必要があります。ライフサイクルが違うので賢い現代女性が「昔はよかった」と嘆く必要はありません。

※50 対450 では話になりませんね。
※豆知識Q&A その2
Q 生理は体にたまった不要なものを排出する働きがあるので生理を止めると体に良くないのでしょうか。
A いいえ違います。生理には体にたまった老廃物や毒素を排出する、いわゆるデトックス効果はありません。すぐの妊娠を望まない期間は子宮を休ませる意味からも生理痛を軽減させるホルモン剤(低用量ピルやプロゲスチン製剤等)の使用は大変有意義なことです。
※豆知識Q&A その3
Q 病院に行ったら診察や検査などで大変なのでは?生理がつらいのにさらにつらいのは耐えられません。
A 大丈夫です。診察、検査等は簡単です。治療も先に述べたように飲みやすいお薬です。効果が高いことは多くの女性が体験済みです。気苦労の9 割が病院に行くまで、残りは1 割でもうゴール間近です。
※豆知識Q&A その4
Q 生理痛をとるためのいろいろな薬があることはわかりました。でもそれぞれの薬の効き具合がどうなのかよくわかりません。
A 大丈夫です。このようなイメージです。

※ すでに生理痛の治療は低用量ピルの連続的投与法とプロゲスチン製剤が主力の時代です。気力、お守りや効かない漢方薬は迷惑な過去の遺物です。
※ GnRHa 製剤については次の項「生理の量が多い」でご説明があります。
※豆知識Q&A その5
Q ピルを飲むと太ると聞きましたが本当ですか。
A 太りません。近年の様々な研究によって低用量ピルを服用して太るという考えは明確に否定されています。
※豆知識Q&A その6
Q 低用量ピルで生理日の調整はできますか。
A できます。以前は低用量ピルは経口避妊薬と違い保険診療でお渡しする薬なので、病気を治す目的以外の行為はけしからん!という理由で認められませんでした。しかし、そんな意地悪な考えも最近は声を潜め、低用量ピルでも月経周期の調整はしてよいことになりました。これは産婦人科診療ガイドラインでも公式的に認めらています。女性のQOL(生活の質)向上に低用量ピルを大いに活用しましょう。月経周期の調整法(生理日をずらす方法)は念のため医師へお尋ねください。
2 生理の量が多い
生理の量が多いか少ないか、他人と比べることは困難です。しかし明らかに多い場合は病気です。生理の時出血の塊が出る、貧血症状が出る、などは要注意です。貧血といっても2種類あって、日本語的ふらふらする、の貧血と医学的に血が薄い、の貧血に分かれます。もちろん同時に起きる貧血もありますが、治療が必要な貧血は後者の医学的に血が薄い貧血です。これは通常簡単な検査ですぐに結果が出ます。健康診断で貧血と言われた方もこの医学的貧血です。生理の量が多く、医学的に貧血がある場合、きちんとした診察と治療が必要です。子宮筋腫や子宮の奥の方のポリープやがん=子宮体がんなど原因となる病気が隠れていないか、まずはしっかり確認しましょう。貧血が軽い場合、鉄分の薬を服用します。貧血が重い場合、それ以上の治療が必要となります。貧血を起こす原因の病気により治療法、治療薬が異なりますが、順に治療法、治療薬を挙げてゆきます。なお、各治療法、治療薬には一長一短、メリットデメリットがありますので診察時にきちんと確認しましょう。
△ 生理の量が多い場合その1
低用量ピルを使います。低用量ピルは避妊薬の一種ですが着実に生理の量を減らします。
同時に生理痛も減らすので、生理痛もある方には一石二鳥です。低用量ピルの話は前項(1生理痛が強い)でも述べていますので参考にしてください。

△× 生理の量が多い場合その2
プロゲスチン製剤を使います。低用量ピルより新しい世代の新しい概念に基づく薬です。先に述べた子宮筋腫がある場合にも有効で、徐々に生理を止めてゆくのと同時に子宮筋腫も縮小させてゆきます。副作用も比較的少なく医学的に使いやすいお薬です。低用量ピル同様生理痛も減らします。低用量ピルより使用制限が少なく、長期間服用可能、かつ効果的なので今後最も注目されてゆく薬です。相談の上考えましょう。プロゲスチン製剤の話は前項(1生理痛が強い)でも述べていますので参考にしてください。
×× 生理の量が多い場合その3
GnRHa 製剤(ジーエヌアールエイチアゴニスト製剤)を使います。生理を止める最も強力な薬の一つです。一時的に閉経と同じホルモン状況にする治療法です。閉経=生理が止まる=生理による貧血も改善、します。ただし、骨をもろくするという一時的な副作用もあるので一回の使用期間も6 か月が限界です。当然一時的に更年期症状も出ます。更年期症状がつらい方、ご希望のある方にはそれを和らげる漢方薬も同時に処方しましょう。GnRHa製剤とほぼ同様の薬には飲み薬もあり、一日一回の内服でよく、使い勝手も良好です。使用期限の6 か月を過ぎた場合、通常「生理の量が多い場合その2」で述べたもう少し弱いお薬のプロゲスチン製剤をその次に使ってゆきます。
××× 生理の量が多い場合その4
手術をします。子宮筋腫が生理の量を多くする原因となっている場合、その子宮筋腫を手術で根本的に治療することが必要です。ただし、ご本人の意思、お子さんを欲しいかどうか、
等により手術方法も変わります。子宮をすべて取るのか、筋腫のみ取るか、または開腹手術、腹腔鏡下手術(おなかの内視鏡手術)、子宮鏡下手術(下からの子宮の内視鏡手術)など様々な方法とその組み合わせがあります。手術=おなかを切って、子宮をすべて取る、という昭和式乱暴な話ではありません。手術をする場合、担当医師から丁寧な説明とご自身の了解が必要です。
3 生理前の体調不良
低用量ピルを使いましょう。生理前に体の様々な不調、精神的な不調をきたし、生理が始まるとかえって和らぐことが多いものを月経前症候群(PMS)といいます。体の不調は下腹部痛、肌荒れ、ニキビ、むくみ、疲労、眠気、肩こり、便秘、下痢等様々です。心の不調はイライラ、無気力、落ち込みなどです。月経前症候群(PMS)の諸症状がひどく、特に心の不調が強いものを月経前不快気分障害(PMDD)といいます。月経前症候群(PMS)には低用量ピルがよい効果をもたらします。また月経前不快気分障害(PMDD)には連続的投与法での低用量ピルが効果的とされています。精神科的治療も有効とされています。いずれにしろ漢方薬などで効果がなく、つらい思いをしてきた方には低用量ピルが何よりの朗報となるでしょう。低用量ピルの話は前項(1生理痛が強い)でも述べていますので参考にしてください。
Photo provided by DR Yoko KURAMOCHI
おいしいパンでも食べて一休み
※豆知識Q&A その7
Q 低用量ピルとプロゲスチン製剤の効果と副反応、注意点が多数あってよくわかりません。
A 大丈夫です。早見表です。
※ 避妊やニキビ、生理不順の解消など、低用量ピルとプロゲスチン製剤にも得て、不得手、、、、、、があります。医師へ相談しましょう。
まとめ
当院では少しでも生理に悩む女性たちをつらさから解放されるよう、精いっぱいの応援をしたいと思っています。何でもお気軽にお尋ねください。
霧ヶ峰へ行こうビーナスラインドライブ・フォトスポット | 霧ヶ峰高原観光サイト 霧ヶ峰へ行こう | 諏訪観光協会公式 (suwakanko.jp)
参考文献、参照欄
OC・LEP ガイドライン2015 年度版 日本産婦人科学会
OC・LEP ガイドライン2020 年度版 日本産婦人科学会
産科婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023 日本産婦人科学会
生理痛もう悩まない 日本新薬株式会社
よくわかる子宮内膜症 持田製薬株式会社
ヤーズフレックス配合錠を服用される方へ バイエル薬品株式会社
くらもちレディースクリニック院長 蔵持和也