妊婦健診予約

無痛分娩

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ご希望に応じ無痛分娩を選択できます。


無痛分娩の概要(大まかな考え)

(1) 無痛分娩=硬膜外麻酔

当院の無痛分娩は硬膜外麻酔を主体に行います。この方法は現在多々ある無痛分娩の手法の中で欧米諸国の麻酔科学教科書、専門医学書を含め、唯一、最も安全、確実、かつ赤ちゃんに対し影響がほとんどない、と認められています。硬膜外麻酔自体は帝王切開手術等開腹手術(おなかを切って行う手術)に応用されてからすでに40年近い歴史と実績があり、手術中の体に対する悪い影響(侵襲といいます)を最小限に抑える優れた麻酔法としても確固たる地位を確立しています。この方法に加え、補助的麻酔として仙骨神経麻酔、陰部神経麻酔を必要に応じ随時使用します。


(2) 無痛分娩は無痛?ではありません。あえて約1/3ぐらいの痛み具合にしています。

 無痛分娩は上に述べたように手術中の麻酔である硬膜外麻酔を半ば流用したことで成り立っています。もちろん手術中の硬膜外麻酔は完全無痛に近い状態となります。では無痛分娩も無痛?にはあえてしないようにしています。硬膜外麻酔は通常脊髄の知覚神経、運動神経を遮断してゆきます。麻酔科学的に陣痛は大きく分けて「痛み」としての陣痛と、「力」としての陣痛に分けて考えることが理解するうえで大切です。硬膜外麻酔は「痛み」と「力」の陣痛を各々ブロックしてゆきます。しかし、興味深いことにそれらのブロックされる範囲はわずかに異なります。硬膜外麻酔が陣痛にうまく作用すると、「痛み」としての陣痛は消えるが、「力」としての陣痛は残るという絶妙な状態になります。もちろん硬膜外麻酔が効きすぎると「痛み」としての陣痛と大切な「力」としての陣痛両者が消えてしまいます。硬膜外麻酔の利点はまさにその調節性にあります。調節機能を最大限活用します。投与する薬剤の種類、、分量、濃さ、タイミング、硬膜外麻酔の管を入れる場所などを微妙に調整することで、「痛みがそこそこ取れ、分娩がそこそこ進む」適度な状態にもってゆくことが可能になります。そこそこの痛み・・・は人により異なりますが、当院ではおおよそ約1/3ぐらいを目標にしています。


(3) 自然の陣痛を待ち、その力を生かしつつ無痛分娩を行う。必要に応じ陣痛促進剤の使用、吸引分娩等を活用します。

 先に述べたように硬膜外麻酔による無痛分娩は分娩にとって一種の「ブレーキ」として作用します。では期せずしてブレーキが利きすぎた場合、あるいは元々ブレーキが重い場合はどうするのでしょう。この場合、積極的に「アクセル」を使うことも可能な選択肢です。陣痛促進剤の使用、吸引分娩がこれに当たります。陣痛促進剤はきちんとした使用法を守れば大変有効な効果が期待でき、硬膜外麻酔で弱くなった力としての陣痛を元通りに回復させうる可能性が高まります。硬膜外麻酔による無痛分娩は麻酔科学に基づく医学的手法です。利点は大きいのですが、完全無欠の万能選手ではありません。アラジンの魔法でもありません。わずかな欠点をさらに医学的手段をもって補い、一つの完全に近い環に近づけることが可能となります。


(4) 硬膜外麻酔によって起こりうる影響=薬剤そのものによる赤ちゃんへの直接的影響はありません。

 硬膜外麻酔の性質上、お母さんの血圧が万一低下し、一過性に赤ちゃんへストレスがかかることもあります。しかし胎児の健康状態に大きく影響することはありません。無痛分娩法には一種の麻薬や吸入麻酔を用いる手法がありますが、これらはすべて胎児に対する直接的影響が生じます。原則として局所麻酔剤のみを使用する当院の無痛分娩法はもっとも安全で胎児に対し影響を与えません。ただし、無痛分娩にかかわり無く赤ちゃんの健康状態が悪くなったときは帝王切開術など、もっとも適切と思われる処置を行います。一過性ですがトイレ歩行等に制限の生じる場合があります。硬膜外麻酔後一過性に腰痛、頭痛、知覚異常をきたすことがあります。
 

無痛分娩教室、無痛分娩を始める「きっかけ」表

 無痛分娩を実際にお受けになる際の特別な準備、教育、行動制限等は原則として何もありません。無痛分娩のより良い理解のため、くらもちレディースクリニックでは「無痛分娩教室」を開催しています。参加は無料です。

①無痛分娩教室開催時期 ・妊娠前半期 ・前期母親学級の終了直後

指定週(事前に要確認)の土曜日午後2時より約30分
 ※無痛分娩で出産予定の方が対象です。
 ※無痛分娩に興味のある方も対象です。
 ※現在他院におかかりの方も参加は自由です。
 ※取材目的での参加はお断りします。

②無痛分娩を始める「きっかけ」表

△計画出産+最初より無痛分娩
▲計画出産+途中より無痛分娩
◎自然陣痛+最初より無痛分娩
◯自然陣痛+途中より無痛分娩

 いずれも可能ですが、無痛分娩の基本は自然陣痛+最初より無痛分娩です。先に記したように自然な陣痛の力とタイミングを利用する無痛分娩が人工的な計画出産をベースにした無痛分娩よりあらゆる点で医学的に優位にあることは論を待ちません。
また、硬膜外麻酔による無痛分娩は徐々に効果を発揮してくる麻酔法です。魔法ではありません。したがって、急に痛みを消し去ることは苦手です。途中より無痛分娩を行う場合、最初から徐々に無痛分娩を行う場合より効果が限定される場合があります。
 

無痛分娩の実際

無痛分娩をお受けになる時の、実際の流れを簡単に説明いたします。ここでは無痛分娩を行う際の基本である自然陣痛+最初より無痛分娩について説明します。また、状況により臨機応変な対応が必要なこともあるため、スケジュールに変更が生じる場合もあります。

  1. きちんとした、自然な陣痛が来てからすべてのスタートです。
  2. 入院し、胎児心拍モニター検査、血管確保のための点滴処置等必要な諸検査、処置を行います。
  3. 硬膜外麻酔の準備をします。あらかじめ背中に局所麻酔を行った後、髪の毛ほどの太さの、柔らかい管を注射して背中に入れます。人によりますがこの処置にほとんど痛みは伴いません。
  4. 子宮口が3 cm前後を超えることを確認します。
  5. 硬膜外麻酔用の背中の管(カテーテルといいます)より麻酔薬を投与し、陣痛の痛みをコントロールしてゆきます。リラッックスしながら出産を待ちましょう。痛みの強い場、分娩進行状況を考えつつ麻酔薬の追加投与を行います。さらに痛みが強い場合、仙骨神経ブロックなど、補助的麻酔処置を行うこともあります。
  6. 出産直前にいきみ感が足りない場合などは吸引分娩を選択します。
  7. 出産後硬膜外麻酔のカテーテルを抜き無痛分娩は終了です。
  8. 会陰切開の縫合があればこれも行います。硬膜外麻酔の無痛分娩では通常この処置の痛みは全く消えてしまうことがほとんどです。


くらもちレディースクリニックの無痛分娩への取り組み

当院は麻酔科標榜を許可された数少ない個人病院です。
無痛分娩の名前は他の病院、診療所でも目にすることができます。しかし、当院の無痛分娩に対する診療体制はそれらに比べ、絶対的アドバンテージが少なくとも4点あると考えています。

  1. 個人産婦人科診療所で麻酔専門医(麻酔科標榜医、麻酔指導医)が常に院内に常駐することは人件費の関係でほとんどありえません。ちなみに麻酔科医師が常駐(常勤医師といいます)していないと、○○産婦人科・麻酔科との表記が許されません。
  2. 麻酔は高度な専門性が必要とされる専門医学分野であり、一般産婦人科医師が勝手に麻酔科を名乗ることはできません。個人産婦人科診療所で無痛分娩と称するものが行われる場合、多くは麻酔科標榜資格のない産婦人科医師・院長らがその麻酔を担当することになります。が、麻酔の専門性、安全性を保障するものではありません。大きな総合病院ではどうでしょう。
  3. 麻酔科を有する大きな総合病院では多くの場合、麻酔専門医師が常駐します。しかし、麻酔科医師は本来の手術室業務でどこでも超多忙です。たとえ時間があっても無痛分娩に対し理解、興味の薄い先生方がほとんどです。無痛分娩は麻酔科の中でも特殊な分野となっているのが現状です。なぜか。無痛分娩は麻酔科的専門知識に合わせ、産婦人科的専門知識の双方が同時に要求され、初めて満足する結果につながるからです。無痛分娩に対し理解、興味の薄い麻酔科医師は無痛分娩を成功させることができません。
  4. 稀ではありますが、無痛分娩に対し理解の高い麻酔専門医師が常駐する総合病院があれば、当院と比較してみましょう。上記したように無痛分娩成功のカギは麻酔科的専門知識と産婦人科的専門知識の双方が有機的に結びつくことが必要条件となります。この有機的連携を行うことは上手なコンビネーションンが要求されます。言い換えると無痛分娩の達成は右足の産婦人科学と左足の麻酔科学を使って駆け上がる登山であるといってもよいでしょう。こぶは荒く、谷深しです。「麻酔科専門医資格を有する産婦人科医専門医が最初から最後まで全分娩経過を担当する」ことが理想的無痛分娩の環境であると考えます。

当院では無痛分娩に多大な興味、関心をそそぎ、それに見合う実績を上げていると自負します。当院院長は麻酔科医師の時代より無痛分娩へ多くの関心を払い、実践してきました。また、産婦人科医師となった後は麻酔科勤務医時代の経験をベースに、同時に産婦人科専門医の経験を加味しながら積極的に無痛分娩に取り組んでいます。(平成14年第23回上総臨床検討会にその臨床成績を発表済み)

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平成23年盛夏だが極寒、富士山火口にて撮影
photo by KURAMOCHI